虫歯に苦しんだ歴史の偉人たちを調べてみた

虫歯に苦しんだ歴史の偉人たちを調べてみた健康・心と身体

人類が誕生してから世界中の人を苦しめた病として”虫歯”があります。現代の我々の感覚ではさっさと歯医者さんにいって治療すれば良いと思いますが、虫歯の治療が確立したのは近年であり、昔の人たちは抜歯するか痛みと日々付き合っていくかしか方法がなかったのです。また、虫歯から引き起こされる様々な病により苦しむことになったので、まさに”死に至る病”の一つだったのです。今回はそんな虫歯に苦しめられた偉人たちを調べてみました。

虫歯とは?

高齢化に伴い虫歯になりやすくなる

まず最初に虫歯(う蝕)について簡単に説明したいとおもいます。

う蝕(齲蝕、うしょく)とは、歯の実質欠損のなかで、生物的要因(口腔内の細菌が糖質から作った酸による歯の脱灰など)が原因であるものである。一般的に虫歯と呼ばれ、疾病負荷の観点から歯周病と並び、歯科の二大疾患の一つである。世界で最も多い疾患のひとつであり、近年の人口高齢化もあいまって、高齢者の歯科受診は増加している。        ※以上Wikipediaより抜粋

特に日本は先進国の中で口膣ケアの意識がかなり低いとのことなので、一人一人がこまめに対処する必要がありますね。

いつから虫歯は流行しだした?

旧石器時代の人類に虫歯はほとんどなかったと言われており、ハーブや薬草に関しての知識も豊富だったそうで、想像以上に健康的な食事を取っていたそうです。しかし、農耕を行うようになり穀物を主食にし始めてから次第に虫歯が増加します。

お釈迦様に口臭注意されたらショックですね(笑)

紀元前5世紀ごろにはギリシャ人医師のヒポクラテスやインドの聖人である仏陀(釈迦)が歯磨きと口膣ケアを周りに促したと言われています。

6~7世紀頃にサトウキビが東アジア各地で普及すると虫歯を持つ人の割合が少し増加し、10世紀には西洋社会に紹介されヨーロッパで砂糖が求められるようになります。19世紀になると産業革命に伴い砂糖の精製技術が上がりヨーロッパで砂糖の消費率が爆発的に広まります。そして虫歯の数も一気に急増しました。

砂糖の普及は虫歯の歴史を変えた

その後、現代に至って一般的な生活習慣病となる訳ですが、やはり砂糖の普及が一番の原因だったのが分かります。ちなみに第二次世界大戦中の日本や一部の国では砂糖が配給制となったので、虫歯が減少したとの話もあります。

虫歯で苦しんだ歴史人たち

それではさっそく虫歯に苦しんだ歴史人たちを紹介していきましょう。

・ラムセス2世

ラムセス2世

エジプト第19新王朝のファラオであるラムセス2世は約70年間という長期にわたり王権を維持した人物です。90歳近くまで生きたわけですが、その晩年は歯周病と虫歯に苦しめられたそうです。

以外にも紀元前1500年頃からエジプト文明には歯磨き剤のような物があり、口内を清潔にしていたそうです。しかし、治療となると難しかったのでしょう。ちなみに王妃であったとされるネフェルタリは詳しい年齢は不明ですが、彼女のミイラの歯は健康的だそうです。

・曹操

曹操

”治世の能臣、乱世の姦雄”の異名を持つ三国志の主役の一人である曹操です。マルチな才能を持つ曹操ですが、頭痛持ちであったといいます。

漫画「蒼天航路」なんかではしょっちゅうこの頭痛にカッコよく悩まされるシーンがあるのですが、実はこの頭痛の原因は虫歯だったのではないかと言われています。個人的に結構グルメなイメージなので、案外それが原因だったかも知れません。

また、曹操は天才軍師として名高い諸葛亮に鶏舌香(けいぜつこう)なる口臭対策の香木を送ったとの逸話があるのですが、諸葛亮の口内健康はどうだったんでしょうか?

・源頼朝

源頼朝像※東京国立博物館より

鎌倉幕府初代将軍の源頼朝です。最近だと大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で大泉洋さんが演じられて話題となりました。そんな頼朝の死因なんですが諸説あり”これ”と断定はできないのですが、虫歯によるものではないかとする説があります。

「吾妻鏡」によると歯痛に悩まされたとの記述があり、落馬で負傷した後に歯周病によって引き起こさる肺炎(誤嚥性肺炎)や脳梗塞などが彼の命を一気に縮めた可能性があります。

・エリザベス1世

エリザベス1世

イングランド黄金期を築いた女王エリザベス1世もひどい虫歯だったそうです。この時のイギリスでは歯を白く見せるため歯を削って硝酸などを歯に塗っていました。さらに彼女自身が大の甘党であったため彼女の歯はボロボロだったそうです。

かつてのヨーロッパの歯科治療イメージ図

女王に謁見したドイツ人の使者は「砂糖を大量に使うイギリス人にありがちな欠点のようだ」と呟いたほどです。結局、ロンドンの主教ジョン・エイルマーが自らの歯を抜いてまでして治療を受けるよう説得したことでエリザベスは治療を受けます。しかし、最終的に歯周病による敗血病(※傷口跡からの細菌感染)でこの世を去ります。

・ルイ14世

ルイ14世

”太陽王”の別名で知られるフランスブルボン王朝のルイ14世です。そこまで虫歯に悩まされていた訳ではなかったようですが、侍医アントワーヌ・ダカンが”虫歯は万病の病”と主張したため、計12~14回にわたる手術の末、全ての歯を抜歯することになります。

さらに抜歯の際に下あごを砕いたため、殺菌のために真っ赤に焼けた鉄棒で歯茎を焼灼し消毒したそうです。もちろん麻酔なしで…(汗)虫歯の方がマシかもしれませんね。

・足利尊氏

足利尊氏

室町幕府初代将軍の足利尊氏ですが、彼も虫歯を患っており大分県の萬弘寺(まんこうじ)に彼の大きな穴が開いた虫歯が保存されています。歯の状態からして他の歯も虫歯であった可能性があるそうです。

歯が保存された時期的に1336年(建武3年)に入京を果たすも、新田楠木北畠の連合軍に敗れて九州まで撤退した頃ではないかと考えられており、とても歯を磨いている時間などなかったのが伺えます。

・ジョージ・ワシントン

トリビアの泉「1ドル紙幣のワシントンは入れ歯が飛び出ないように噛み締めている」

アメリカ合衆国初代大統領のワシントンは20代前半で虫歯に悩まされており、大統領に就任するころにはほとんど歯がなかったそうです。入れ歯を使用していましたが、実用性に欠けており常に歯を食いしばっておかなければならず、次第に人前で話すことが苦手になったそうです。

・ジョゼフィーヌ

ジョゼフィーヌ

ナポレオンの最初の妻であり、フランス第一帝政の皇后であった彼女ですが、虫歯がひどかったので口を大きく開けず、口元を隠すように周囲に振る舞ったので逆に優雅に見られたと言います。ただ、彼女の死因が肺炎と言われているので、彼女の死も歯周病が関係していたのではないでしょうか?

・徳川家茂

徳川家茂

江戸幕府代14代将軍の徳川家茂は大の甘党であったと言われ、残存する31本の歯のうち30本が虫歯にかかっていたそうです。糖分を摂ると体内で分解される時にビタミンB1が必要となり、そのため、ビタミンB1の摂取量が少ないと欠乏症を起こしやすくなるのですが、これが衝心脚気(しょうしんかっけ)を引き起こし、家茂が21歳という若さでこの世を去る原因になってしまいます。

・パスカル

パスカル

「人間は考える葦である」という言葉を遺したことで広く知られているパスカルですが、虫歯に苦しめられどうしようもなかった日々が続いたそうです。そんな虫歯の痛みを忘れるため彼が行っていたことは、研究中だった”サイクロイドの問題”を解き明かすことに没頭することでした。

結果的にみごとサイクロイドの問題を解き明かしたパスカルですが、その後も歯の痛みを忘れるためか、寝食を忘れ機械式計算機の設計に取り組んだため、39歳という若さでこの世を去っています。

おわりに

江戸時代に作られた入れ歯※神奈川県歯科医師会より

執筆していて思ったのですが、虫歯の悪化から肺炎や細菌感染が昔の偉人たちを苦しめたように感じましたし、上流階級ゆえの過食や砂糖の多量摂取が寿命を縮めてしまったのかと思うと何とも皮肉なことでしょうね。

因みに日本で流行っていたお歯黒は柿に含まれるタンニンという成分のおかげで虫歯予防になっており、入れ歯の精巧さもヨーロッパのものに比べずっと使いやすかったそうです。

逆に現代の日本人の方が歯に対しての意識が低いのは少し悲しいものがあります。まぁ、そういう筆者も奥歯に虫歯があるようなので早々に治療してこようかとおもいます(^^;)

歯を大切に!

みなさんも自分の歯を大切にしましょうね。それでは!

タイトルとURLをコピーしました