荒尾精 日中連携によるアジアの保全を志した男
19世紀、ヨーロッパ列強による植民地獲得戦争はアジアにまで飛び火し「眠れる獅子」と噂されていた清帝国が日本との「日清戦争」に敗北すると西欧列強はここぞとばかりに中国大陸の獲得に乗り出します。また日本も例外ではなくこの戦いでの勝利により多額の賠償金と遼東半島の一部を清より要求し弱小国から大国への足掛かりとします。しかし、そんな日本の要求に「待った」を掛けたのが今回紹介する荒尾精です。荒尾はこの要求は日中両国に将来大きな禍根を残すことを危惧し、明治政府及び一般大衆に向けて「対清意見」という本を刊行し、世間に警告を発します。当時、荒尾はアジアが一丸となって協力し合わなければならないという思想を持っており、そのためには日中の提携が不可欠であると考えていたからです。今回はそんなアジアの平和のために一命を投げ打った稀代の傑物・荒尾精に迫りたいと思います。